東大観世の日々

能楽サークルって何をやっているのでしょう

今週の柏蔭舎(3月第四週)と、「なぜ東大観世会?」

今週は普通のお稽古です。
13時にA木が、しばらくしてI藤さんが来ました。外は雨で、風も吹き荒れています。はやくも満開となった柏蔭舎わきの桜の枝が、強風にあおられてぶるんぶるんしています。
その後T山さん、Y口さん、M葉さんが来ました。最後の稽古となるT瀬さんも、小鼓を持って現れました。
なぜか誰もリーダーシップをとらなかったので、各自で勝手にいろいろ舞ったり謡ったりするのが続いて、話し合いを挟んでからようやく、新歓に向けて仕舞を合わせはじめました。
今年の新歓能楽座の演目は、仕舞が「養老」「羽衣キリ」「蝉丸」「善界」、舞囃子が「敦盛」です。新入生の皆さん、お楽しみに。
新歓向けの稽古が終わったあと、最後に閑祥会に向けた稽古をして、6時に終わりました。


では、今回は、「なぜ東大観世会を選ぶべきなのか」ということを。
能関連のサークルはたくさんあります。東大だけでも、東大観世会、東大宝生会、東大狂言研の三つがあります。またほかの大学にも能のサークルは(意外と)たくさんありますし、伝統芸能のサークルといったら、星の数ほどあります。
日本の伝統を学びたい! という新入生は、どのサークルを選べばいいか、迷ってしまうのではないでしょうか。

もちろん、「茶道がやりたい!」とか、「三味線が弾きたい!」とか、やりたいことがはっきり決まっている人は、そういうサークルに入るのが一番いいとおもいます。

でも、「伝統芸能には興味があるけど、なにをやればいいか迷っちゃう……」という人も多いのではないでしょうか。
そういう人には、「能サークル」、なかでも、「東大観世会」を強くおすすめします!

まず、なんで「能サークル」がいいか。
能は、室町時代に誕生した芸能です。日本の芸能の特徴は、先行する諸芸能を取り込んで独自の発展を遂げていること。
能も雅楽や、曲舞などの当時の伝統芸能を取り込んで成立しました。そして、能の芸は歌舞伎や文楽に取り込まれていきました。
豊穣な日本の伝統芸の世界。その全体を俯瞰するのにちょうどいい位置にあるのが、実は能なのです。

能より前の芸能は、すでに滅びてしまったり、あるいは古すぎたりして、おいそれと習うわけにはいきません。
能よりあとの芸能は、様々に分化し、複雑になって、一つ習ったところでそれはごくごく一部にすぎません。

能を習っておけば、たとえば雅楽などの先行する芸能へアクセスする足がかりになります。
能を習っておけば、後に発展する様々な芸能を理解する足がかりになります。

たとえば有名な歌舞伎舞踊をいくつか挙げてみましょう。
「娘道成寺」「連獅子」「隅田川」……。
これらはそれぞれ、能の「道成寺」と「三井寺」、「石橋」、「隅田川」が下敷きになっています。
謡、太鼓、二種類の鼓、笛という楽器構成も、その演奏の中身も、能から取り入れたものです。

また能の謡には、源氏や平家、そして和歌などの古典文学がふんだんに取り入れられています。
謡を覚えていけば、知らず知らずのうちに日本古典文学についての知識が身についていくのです。

それでは、数ある能サークルのなかでなぜ、「東大観世会」をおすすめするのか。
練習が週一で負担が少ない、お金があまりかからない、(狭義の)能ができる、お囃子ができるなど、数々の理由がありますが、今回一番の理由として挙げたいのは、「ちゃんとやる」サークルだということです。

学生の伝統芸能サークルというと、あんまりちゃんとしていない、というイメージがあるんじゃないでしょうか。
着物の着方がぐずぐず、お作法が適当、謡を覚えていない……。
残念ながら、そういうところが全くないとは言い切れません。

しかし東大観世会は、「そういうこと」に関してはそこそこのレベルを保っていると自負しています。

当会は、先生のご指導と、過去の先輩たちの努力と、そして現役各自の自律で、「ちゃんとやる」サークルとしてのレベルを保ってきました。
お作法をちゃんとすること、謡をちゃんと覚えること。これを、各自が自分に厳しく要求し、「下手だとしても見苦しくない」舞台をやろう、と思って活動しています。

やるなら、ちゃんとやりたいでしょ?

この、「サークルとしての色」の背景には、もちろん先生の存在があります。
当会の指導に当たってくださっている関根祥六先生は、観世流の重鎮。
社会人のお素人の方に、「祥六先生が直接指導してるの?」ときかれ「はい」とこたえると素直に驚かれます。
先生は、品格と「ちゃんとする」ことを大事にされ、お作法などを細かく指導してくださいます。

そういう先生からのご指導と、先生に習うのだから、東大と先生の名を背負って舞台に立つのだからという思いで、会員たちは自分を律して、「ちゃんとする」サークルとしての東大観世会が成り立っているのです。

だから、適当に遊びたいという人には向いてないかもしれません。
でも、やるならちゃんとやりたくないですか?
どうせ学生だから、と、いわれたくないじゃないですか。
本気でやらないと、おもしろくならない!

だから、本気でやりましょう。僕らと一緒に。

(五)
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